復元逸品 銚釐のおはなし 

復元逸品を語る上で絶対に外せない作品があります。
それが銚釐。
「ちろり」と読みます。

銚釐は、江戸末期に流行した急須型の酒器のこと。
薩摩切子で出来た銚釐は、大変高度な技術を駆使して作りだされています。

 

使われているのは、透明ガラスでつくられた胴体の2面に部分的に色を溶着する「部分被せ(ぶぶんぎせ)」という技法。
色ガラス部分には、六角籠目文という薩摩切子らしい繊細な文様が刻まれています。

また、本体に3か所の突出部を溶着し、そこに銀の金具をかぶせて把手をつなぎ合わせています。
ガラスと金具の精密な削り合わせを必要としていて、大変高度な技術が必要なのです。

往時の職人の技術力の高さを物語り、また、現在の職人の英知を結集して復活を遂げた銚釐。
美しく、そして凄味すら感じさせる名品の輝きを、ぜひご覧くださいませ。

色のひみつ その②

薩摩切子の色のひみつを解き明かす、第2回。
今回は、藍色についてお伝えしたいと思います。

現在のものとは少し色みが違いますが、篤姫が江戸にお輿入れする際、嫁入り道具として持参した酒瓶も藍色でした。

 

※画像は、大河ドラマ『篤姫』放映を記念し、実物を実測して復元した「藍色切子栓付酒瓶」です。
限定で製造販売を行った作品で、現在は販売しておりません。

脚付蓋物や船形鉢など、逸品として名高いものにも藍色の作品が多く残っています。

藍色の魅力は、やはりその趣ある輝き。
深く落ち着いた青は、色気さえ感じさせます。

しっとりと淡く輝く藍色の薩摩切子で、ゆったりとお酒をたしなんでみてはいかがでしょうか。

 

 

色のひみつ その①

現在、島津薩摩切子のラインナップは紅・藍・緑・黄・金赤・島津紫 の全6色。
どの色がいいのかな~?と悩まれる方もしばしばです。
そこで、それぞれの色のひみつについてご紹介したいと思います♪

今回ご紹介するのは、紅色。
なんとも言えない、深く落ち着いた色味が特徴です。

実は、この色、銅を使って発色したもの。
銅を使った赤色は発色が大変難しく、この色味を出すのは現代の技術でも非常に困難です。

この色の発色に果敢に挑み、そして日本で初めて発色に成功したのが薩摩藩だということは、意外に鹿児島でも知られていない事実です。
江戸末期、紅色(銅赤)のガラスは非常に珍重され、身分の高い人々の間で「薩摩の紅ガラス」と呼ばれ、称賛されたといわれています。

薩摩切子の生みの親、島津斉彬もさぞかし自慢の逸品だったことでしょう。

きらきらと煌めく美しさではなく、奥深くしっとりとした美しさ…
紅色は、薩摩のこころ、和のこころを今に伝える魅力を持っています。

作品名:丸十花瓶(紅)
島津家の家紋である「丸に十の字」を正面に施した逸品。
独特の意匠と家紋のサイドに彫り込まれた霰文(あられもん)が、
往時の質実剛健な薩摩の雰囲気を伝えています。

「復元逸品 脚付蓋物」のおはなし

江戸時代の作品の中で、より秀逸な作品が「復元逸品」。
今回は、薩摩切子復元に携わった中根 櫻龜(なかね おうき)にも大きな影響を与えた作品、「脚付蓋物」をご紹介したいと思います。

脚付蓋物は、非常に難度の高い成形技術を駆使して作られたもの。
別々に形づくられた色被せされた器と透明な脚を溶着し、繋ぎ部分を綺麗な八面に加工してあります。
器全体に施されているのは、薩摩切子の代表的な文様である六角籠目文。
そのなかに交互に配された麻ノ葉小紋と魚子文は蓋の部分と連続しています。

実は江戸末期に作られていた作品が展示してあるのが、鹿児島・磯の地に建つ島津家の別邸「仙巌園」に隣接する博物館、「尚古集成館」です。


今から28年前、薩摩切子復元のために来鹿した中根櫻龜が初めて出会った薩摩切子が、脚付蓋物でした。
当時の責任者に「この脚付蓋物を復元してほしい」と言われ、大変驚いたそう!
現代の薩摩切子を見慣れた私からしても、江戸時代の職人たちの技術と根気、情熱には頭が下がる思いです。
きっと当時の櫻龜も、並々ならぬ想いでこの脚付蓋物を眺めたのではないでしょうか。

仙巌園は、往時の感性と現代の技術、いずれをも自分自身で見ることのできるたった一つの場所です。
意外と知られていない薩摩切子の歴史―…
雄大な桜島とともに、楽しく学んでみてはいかがでしょうか。

使って楽しむ薩摩切子のススメ。その①

薩摩ガラス工芸には、日々多くのお客様がいらっしゃいます。
そこでよく耳にするのが、「薩摩切子って、実際に使えるの?」というご質問。
価格やデザインから、実用には向いていないのでは?と思われることが多いようです。

しかし…実は薩摩切子、ハレの日を彩るのにふさわしい器なのです!
そこで実際に使用して、飲み心地をレポートしたいと思います♪

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