「復元逸品 脚付蓋物」のおはなし

江戸時代の作品の中で、より秀逸な作品が「復元逸品」。
今回は、薩摩切子復元に携わった中根 櫻龜(なかね おうき)にも大きな影響を与えた作品、「脚付蓋物」をご紹介したいと思います。

脚付蓋物は、非常に難度の高い成形技術を駆使して作られたもの。
別々に形づくられた色被せされた器と透明な脚を溶着し、繋ぎ部分を綺麗な八面に加工してあります。
器全体に施されているのは、薩摩切子の代表的な文様である六角籠目文。
そのなかに交互に配された麻ノ葉小紋と魚子文は蓋の部分と連続しています。

実は江戸末期に作られていた作品が展示してあるのが、鹿児島・磯の地に建つ島津家の別邸「仙巌園」に隣接する博物館、「尚古集成館」です。


今から28年前、薩摩切子復元のために来鹿した中根櫻龜が初めて出会った薩摩切子が、脚付蓋物でした。
当時の責任者に「この脚付蓋物を復元してほしい」と言われ、大変驚いたそう!
現代の薩摩切子を見慣れた私からしても、江戸時代の職人たちの技術と根気、情熱には頭が下がる思いです。
きっと当時の櫻龜も、並々ならぬ想いでこの脚付蓋物を眺めたのではないでしょうか。

仙巌園は、往時の感性と現代の技術、いずれをも自分自身で見ることのできるたった一つの場所です。
意外と知られていない薩摩切子の歴史―…
雄大な桜島とともに、楽しく学んでみてはいかがでしょうか。